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お店の在庫数を常に把握しておくことは、以下の理由で大変重要です。
決算時の総資産はその時に棚卸を行うことで把握できますが、 それ以外のケースでは現在の在庫数を把握しておかなければ混乱することにもなりかねません。
本システムでは在庫関係の用語として以下を用いています。
これらについて以下に説明していきます。
実在庫とは、「現在、売ることが可能」な存在する商品のことです。 単に「在庫」と呼ぶ場合もありますが、特に仮想在庫などと区別する場合には「実在庫」 という言葉を用います。 「売り物として存在しない商品」、つまりそもそも販売対象でない品物や、 顧客が既に購入済みで引当状態になっている品物は実在庫ではありません。
実在庫はデポごとに把握されます。 ある商品の実在庫はデポ1に10個、デポ2に5個の場合、店全体の実在庫は15個という具合です。
引当(ひきあて)とは、店にある商品のうち以下の目的で保管されているものです。 これは実在庫には含まれません。
これらの商品の現物は店に存在しますが、他の用途に使用してはなりません。 また、店には存在するものの在庫数量(実在庫)には含まないことに注意してください。 A商品が引当として100個存在しても、引当以外の数量がなければ、在庫数は0です。
引当は、以下の操作を行った場合に自動的に行われます。
引当が解除された場合には、それらは在庫として戻されます。 つまり、在庫数(実在庫)が増えることになります。 これは以下のような場合です。
ロスとは、お店にある商品のうち、以下の状態のものです。
これらは純粋にお店の損失になります。 ロスの発生には以下の二通りがあります。
入荷予定数とは、発注中の商品の数のことです。 一つの商品について未入荷の発注が複数あれば、それらを合計した数になります。
入荷予約(ヨヤク)数とは、入荷予定(ヨテイ)数すなわち発注中の商品のうちのいくつが顧客によって予約されているかを示すものです。 商品が入荷すると、これらの数はその顧客のために引当されます。
仮想在庫数は「実在庫数 + 入荷予定数 - 入荷予約数」となります。 これは、その時点で将来的に在庫数がいくつになるかを把握するための数値です。
仮想在庫数の把握が重要であるのは以下の理由です。 本システムでは現在のところ、発注方式として 発注点方式を採用しています。 これは簡単に言えば、「在庫数が発注点以下になったら発注を行う」という方式です。 しかしながら、この「在庫数」として実在庫数を採用するわけにはいきません。 仮想在庫数でなければなりません。
例えば、「在庫数が5以下になったら20個になるまで発注する」とします。 また、実在庫を在庫数として採用するとします。 いま、実在庫が2になったので18個発注したとします。 しかし次に発注すべきかを調査すると、さらに18個発注せよと表示されてしまいます。 なぜなら、さきほど発注した18個は「発注すべき数量の計算」では考慮されていないからです。
そこで仮想在庫数という概念が必要になります。 既に18個発注済み(18個が入荷予定)であれば、仮想在庫数は20個です。 したがって、発注点である5を大きく超えているので、それ以上の発注を阻止することができます。
さらに入荷予約数を差し引く理由はおわかりになると思います。 18個発注していても、そのうちの16個が顧客による注文であれば、 店の最終的な在庫数は4でしかありません。 これは発注点を切っているので、さらに発注をかける必要があるということになります。
デポとは、本システム中で独立に実在庫を把握する単位を意味します。 デポを複数作成するか、一つだけで運用するかはユーザの判断ですが、 少なくとも一つ作成しなければ本システムは運用できません。
※入荷予定数・入荷予約数・仮想在庫数は店全体での管理です。 実在庫のみがデポ単位で管理され、その合計が店全体の実在庫数となります。
例えば、お店と倉庫が別棟の場合にはそれぞれをデポにし、システム全体では二つのデポとします。 Aという商品がお店には10個、倉庫には20個というように在庫数を別々に把握することができます。
もし、お店と倉庫を同じ一つのデポとするとどうなるでしょうか。 このデポには30個の在庫がありますが、品物が実際にどちらにあるのかシステム上では把握できません。 仮にお店の商品がすべて売り切れてしまうと残りは20個ですが、 システム上はこの20個がどちらにあるのかわからないため、 「倉庫から店に補充せよ」という指示を出すことができません。
逆に言えば、それらの在庫を別々に管理することにより、 システムでは常にどちらにいくつの在庫があるかを把握しておくことができ、 一方の在庫が不足しているときは、「在庫を補充せよ」との指示を出すことができます。
倉庫の無いお店の場合でも、デポ分割を考慮してください。 たいていのお店ではバックヤードとして「顧客が勝手に持ち出すことのできない」在庫があると思いますが、 これらをデポとして分割した方が良い場合もあると考えられます。
もちろんやりすぎは禁物です。「お店の陳列棚の上」を一つのデポとしてしまうと、 そのデポから「お店」に商品を移動する際にも、在庫移動処理を行わなければならなくなります。 このあたりの塩梅は経営者様のご判断です。
本システムでは、デポ番号として1から999の最大999個までのデポを作成することができます(一つは必須です)。
デポには展示デポと非展示デポの区別があります。 展示デポとは店舗のように顧客が勝手に品物をとりさることのできるデポです。 これに対して、倉庫は非展示デポです。
これらの区別が必要なのは、在庫補充指示を自動的に行うためです。 本システムでは、展示デポの商品について補充設定を行っておけば、 商品が不足したときに「非展示デポから商品を移動せよ」との指示を出すことができます。
これについては「商品の補充」を参照してください。
例えば、A商品についてある時点で以下のような数量関係があるかもしれません。 この商品は売れ筋なので、在庫が50ありますが、さらに発注をかけています。
ロケ(あるいはロケーション)とは、一つのデポの中の商品の場所を示します。 例えば、店舗デポの中に複数の陳列棚がある場合にロケ番号として棚番号を割り当てます。 もっと細かく指定する場合は、棚の段を一つのロケとしてもよいでしょう。
本システムではロケ番号として1~999までの最大999個のロケを作成することができます。 また、デポ番号とあわせて、商品のありかを示すことができます。例えば、「1-23」は デポ1の中のロケ23を意味します。
大量の商品を扱う場合、「A商品はデポ1に10個ある」という情報ではなにかと不便です。 店舗デポであれば商品がどこに陳列されているのか・陳列するべきなのか、 倉庫デポであれば商品がどこに保管されているのか・保管すべきなのかというある程度の情報は必要です。 これを担うのがロケ番号です。簡単に言えば「棚番号」です。 もちろん、棚ではなくその各段に番号をつけていっても構いません。
ただし、デポと異なりロケは任意です。 ロケは「その商品がそのデポのどこに配置されるかというメモ」程度に過ぎません。 ロケを全く設定しなくとも運用は可能です。
また、一つのデポ内の一つの商品に複数のロケを割り当てることができます。 店舗デポであれば、 「おつまみ」のような商品はお酒コーナーとお菓子コーナーの二つのロケに配置したい場合があるかもしれません。 倉庫デポであれば、 「大型の商品」は一つのロケには入りきらず、空間に余裕のある複数のロケに分散して保管したい場合があるかもしれません。
例えば「A商品は1-23, 1-55, 2-34にある」という場合、 A商品がデポ1の二つのロケ、デポ2の一つのロケに存在することを意味します。
在庫増減の原因としては次があげられます。
在庫数を把握することは大変に重要ですが、同時に非常に困難でもあります。 当然のことながら、商品アイテム数・商品数が増えれば増えるほど困難性は増し、 実際の在庫数とシステム上の在庫数が合わない事態に陥ります。 この理由は様々あります。
本システムでは、検出可能な間違いについては警告を発生するようにしています。 「出庫アンダーフロー」と呼ぶものです。
レジにおいて販売が行われたときは、 その販売数量がそのデポ在庫から自動的に減じられますが、20個しか在庫の無い店舗デポで 25個を減じるわけにはいきません。 このような時には、「店舗デポの出庫アンダーフローが5個」としてその事実がシステム記録されます。 その上で在庫数は以下のようになります。
店全体では25個販売されたのですから残りは25個です。 しかしながら、倉庫デポからは出庫していないので30のままです。 ユーザは出庫アンダーフローが警告されたら、在庫数の補正をする必要があります。
それではもともと店に存在しないものを販売した場合はどうなるでしょうか。 同じ例で、今度は60個販売したとします。 すると、在庫数は以下のようになります。
この場合は「店舗デポの出庫アンダーフローが40個、店全体の出庫アンダーフローが10個」 と記録されます。 この場合は、そもそもの実在庫の把握が間違っていたということになります。
複数のデポを作成している場合には、非展示デポ(倉庫など)から展示デポ(店舗など)へ 商品の補充を行う必要があります。 本システムでは、店頭レジで販売を行うと店舗デポの在庫数は減少していきますから、 あらかじめ各商品についての補充条件を設定しておけば、 システムは展示デポにいくつ補充すればよいかを自動計算することができます。 この条件設定としては次のようなものです。
例えば、補充点5・適正展示数20の場合に、在庫が2になったとしますと、 18個を補充せよとの指示を出します。
この機能は発注点・適正在庫数に似ていますが、そちらは店全体の在庫数を考慮して仕入先への推奨発注数を決めるものです。 補充点・適正展示数は、あくまでも店内部の複数のデポのあいだで商品の推奨移動数を決めるものです。
いずれの数値(推奨発注数・推奨移動数)も「推奨」であってその通りにする必要はありません。
本システムでは、店全体の現在庫の数量・デポごとの数量とともに、店全体での現在庫金額(原価)を 常に保持しています。したがって、棚卸時に限らず、任意の時点で店の総資産を算出することが可能です。
在庫金額の計算は「移動平均法」で行われます。
移動平均法とは、原価(仕入価格・運賃)の変動を適切に在庫金額に反映させるため、 時期によって異なる原価の違いを加味して金額計算を行う方法です。 例えば、仕入価格500円のA商品を10個仕入れると、在庫金額は5000円です。 そのうちの5つが売れた後で(現在庫金額は2500円)、600円に値上がりしたA商品を10個仕入れると、 15個で8500円(2500円+6000円)になります。 このとき、1個あたりの在庫金額を566.66円(8500円÷15)と計算します。 その後2個売れると、在庫金額は「566.66×13=7366.58円」となります。 |
また、店全体の在庫数量と金額は毎日記録しています。 ネットワーク版の場合は夜間処理にて、スタンドアロン版の場合は、 日付が変わるか次に起動したときに記録されます。
「集計」を参照してください。
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